下が長い吉(つち吉)の出し方と履歴書・戸籍の正解!スマホ変換と違いの真相
私たちが普段目にする「吉」は、上が「士(さむらい)」で下が「口」のいわゆる「士吉」です。これに対し、上が「土(つち)」になっているものが「土吉(つち吉)」と呼ばれます。この士吉 土吉 違いは、単なるデザインの気まぐれではなく、漢字が成立した古代中国から続く長大な筆写の歴史に端を発しています。
吉 異体字の由来と歴史を紐解くと、古代の甲骨文字や金文の段階では、台座の上に神聖な祈りの器(口)を置く形から生まれました。秦代の小篆(しょうてん)や漢代の隷書(れいしょ)へと書体が変化する過程で、上部の縦画が下に突き抜ける筆法と、突き抜けない筆法が混在するようになります。つまり、伝統的な書道の世界において、土吉は士吉の書き損じではなく、長い歴史を持つ正当な「異体字(俗字・書写体)」として脈々と受け継がれてきた文字なのです。
この違いを世に広く知らしめた象徴的な存在が、大手牛丼チェーンの「吉野家」です。飲食業界や看板文字デザインの研究者によると、創業者の吉野徳次郎氏の出身地である大阪府西成郡野田村(現在の福島区野田)の「吉野」にちなみ、1899年(明治32年)の創業時に掲げられた看板文字が、下部が長く安定感のある「土吉」でした。この吉野家 吉 違いについて、公式のブランドヒストリーでも「商売が末広がりで縁起が良い」「地に足をつけて繁盛するように」という願いを込めた独自の髭文字ロゴとして、登記上の正式社名(標準の吉を使用)とは別に、看板や暖簾の伝統的シンボルとして敢えて「𠮷」を使い続けている経緯が記録されています。