トトロのメイちゃん名セリフ徹底解剖!言葉に宿る驚きの裏設定
劇中でメイが見せる独特の言い間違いは、観客の頬を緩ませる代表的な名シーンだ。「おたまじゃくし」を「おじゃまたくし」と言い、「とうもろこし」を「とうもころし」と言い換えてしまう。言語学でいう「音位転換(メタセシス)」をあえて台本に組み込んだこの演出には、周到な意図が隠されている。
メイにとって、おばあちゃんの畑で採れたとうもろこしは、単なる野菜ではない。結核を患い七国山病院に入院している母親の命を救うための「魔法の薬」なのだ。「お母さんにあげるの。お母さんの病気を治すの」というセリフには、幼いながらに母の死の影に怯え、自分がなんとかしなければならないと思い詰める切実な祈りが込められている。
制作当時のスケッチや覚書を振り返ると、宮﨑監督はこの「とうもろこし」をメイのアイデンティティそのものとして描いていたことがわかる。迷子になってもなお、泥だらけになりながら胸に抱きしめ続けたあの黄色い粒の塊。それは、言葉足らずな4歳児が全身で表現した、純粋無垢な母への愛の結晶だった。