図書館の「禁帯出」とは?借りられない決定的な理由と複写ルール解説
「借りられないなら、全ページをコピーして持ち帰ればよいのではないか」と考える人がいますが、これは明確な違法行為となります。公立図書館や大学図書館で行われている複写サービスは、利用者の便宜のために無制限に許されているわけではなく、著作権法第31条の複写制限という厳格な法的例外規定のもとで運用されています。
通常、著作権者の許諾を得ずに書籍を複製することは権利侵害に当たります。しかし同法第31条第1項により、営利を目的としない公立・大学等の図書館に限り、以下の要件を満たす場合にのみ例外的に複写が認められています。
- 調査研究を目的とすること:趣味のコレクションや業務上の再配布を目的とした複製は認められない。
- 公表された著作物の一部分であること:図書館複写サービスのコピー上限は原則として「著作物全体の半分(50%)未満」と規定。
- 1人につき1部であること:複数部数の印刷やグループ配布用のまとめコピーは禁止。
- 定期刊行物(雑誌・新聞等)の特例:発行後相当の期間(次号の刊行、または発行後3か月)が経過したバックナンバーに限り、個々の掲載記事・論文の全体を複写可能。
辞書や事典類の場合、書籍全体から見れば数ページであっても、「独立した1つの項目(言葉の解説文)」そのものが個別の著作物とみなされるケースがあり、当該項目の半分を超えてコピーできない場合があります。ゼンリン等の住宅地図に関しても、見開き2ページで1つの独立した著作物と定義されるため、1枚の地図の半分までしか複写できないという厳密なルールが運用されています。
なお、館内でのスマートフォンやデジタルカメラによる無断撮影(いわゆるデジタル複写・スクショ撮影)を巡り、多くの図書館が「持ち込み機器による撮影禁止」を館内規則に掲げています。手書きでのメモ書き(筆記)は著作権法上の複製に該当しないため自由ですが、カメラ撮影は「複製」行為に該当し、館内複写の申請書を経由しない無断複製を誘発するため、現場では厳しく規制されています。