光浦靖子の本はなぜ心を救うのか?留学記と手芸に見る文才と魅力
留学以前に発表され、熱烈なファンを生み出したのが『傷つくならばできればもっと』です。人生相談や対人関係の違和感をテーマにした本作は、光浦靖子のエッセイの評判を決定づけた傑作の一つに数えられます。
世の中に溢れる耳ざわりの良いポジティブ論を退け、「傷つくことを過剰に恐れるな」「面倒くさい自分を受け入れる」というリアリズムに根ざしたメッセージを展開しています。不条理な世間とどう折り合いをつけて生きるかという問いに対し、独自のロジックで切り込む彼女の言葉は、人間関係に疲弊した心へ鋭く、そして優しく染み渡ります。