真田家の家紋「六文銭」の真相|結び雁金との使い分けと歴史の真実
真田家の代名詞である「六文銭(正式には六連銭=ろくれんせん)」は、仏教の死生観と密接に結びついています。仏教の教えでは、人は死後に「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上」という6つの世界(六道)を輪廻転生するとされ、冥界へ渡る際にある「三途の川」の渡し賃として六文の銭(六道銭)が必要と信じられていました。
死者を埋葬する際に棺桶へ本物の銅銭や銭を描いた紙を入れる風習はここから来ています。つまり、武士が戦場で六文銭を掲げるということは、「いつ命を落としても三途の川を渡れるよう、すでに冥銭を身に帯びている=いつ死んでも構わない」という不退転の決死の覚悟を誇示する意味を持っていました。
この強烈な視覚的メッセージは、自軍の兵士を奮い立たせるだけでなく、敵軍に対して「命を惜しまない狂気的な強兵」という心理的プレッシャー(心理戦の優位)を与える効果も抜群でした。父・真田昌幸の卓越した軍略や、大坂の陣で徳川家康の本陣を脅かした真田幸村の突撃は、この旗印が持つ精神性と不可分だったといえます。