あだち充『タッチ』再評価の波!達也と南の言葉に隠された真実
本作の核をなすのは、兄・上杉達也と弟・和也という双子の兄弟、そして幼なじみの浅倉南をめぐる三角関係だ。要領は良いが努力を嫌う怠け者の達也と、秀才で野球部のエースとして期待を一身に背負う和也。対照的な二人の間に流れる静かな絆は、和也の突然の悲劇によって劇的な転換点を迎える。
和也の遺志を継ぎ、自らマウンドに立つことを決意した達也。彼が背負ったのは、亡き弟の夢だけではない。弟への罪悪感、南への秘めた想い、そして自分自身の才能に対する恐れ。グラウンドで投球を重ねるごとに、達也は「和也の影」から脱却し、ひとりの投手として覚醒していく。その葛藤の過程こそが、読者の胸を締め付ける最大の魅力だ。