愛犬の肉球が熱い理由は?危険な発熱・熱中症の見分け方と応急処置
犬の肉球が普段より熱くなっているとき、体内ではどのような変化が起きているのでしょうか。原因を正しく突き止めるためには、まず犬特有の体温調節の仕組みを理解しておく必要があります。
1. 眠気とリラックスによる末梢血管の拡張
犬がウトウトしている時や深い眠りについている時に肉球がポカポカと温かくなるのは、正常な生理現象です。犬は眠りに入る際、自律神経が副交感神経優位へと切り替わり、手足の末梢血管を拡張させて体内の熱を体外へ逃がそうとします。深部体温を下げて脳や内臓を休めるための放熱反応であるため、目が覚めて活発に動き出せば自然と元の温度に戻ります。
2. 肉球に存在する汗腺(エクリン腺)と体温調節の仕組み
人間の体表には全身にくまなく汗腺が存在しますが、犬の全身の皮膚にある汗腺の多くはフェロモンを分泌するアポクリン腺です。体温調節を担う水分(汗)を分泌する「エクリン腺」は、主に肉球周辺や鼻頭など極めて限られた部位にしか存在しません。そのため、激しい運動の後や興奮した直後は、肉球の血管に血液を集めて熱を逃がし、わずかな汗をかいて気化熱で冷やそうとするため、一時的に肉球が強く熱を帯びます。
3. 熱中症による深部体温の異常上昇
室温の高さや車内放置、過度な運動などによって体内に熱がこもり、自力での放熱限界を超えてしまうと熱中症に陥ります。犬は主に口を開けてハァハァと息をするパンティングによって熱を放出しますが、高温多湿環境下では十分な放熱ができません。熱中症を発症すると肉球が異常に熱くなるだけでなく、全身が熱を帯び、命の危機に直結する危険な状態へ進行します。
4. 感染症や免疫異常に伴う発熱症状
ウイルスや細菌の感染、あるいは腫瘍や自己免疫疾患などによって体内で炎症が起きると、脳の体温調節中枢が設定温度を引き上げ、全身の発熱が起こります。この場合、肉球だけでなく耳の裏側、お腹周り、内股なども一様に熱くなり、後述する食欲不振や活力低下などの全身症状が併発します。
5. 肉球自体の外傷・火傷・皮膚炎(趾間皮膚炎)
体温そのものは正常であっても、肉球自体にトラブルが起きているケースがあります。夏の熱いアスファルトによる火傷、異物が刺さったことによる化膿、アレルギーや真菌感染による趾間(しかん)皮膚炎などにより、患部が局所的に炎症を起こして熱を持ち、赤く腫れ上がることがあります。