ニングルの森の正体とは?富良野の妖精伝説と幻想空間を徹底解剖
倉本聰氏の哲学とニングル妖精伝説を、訪れる人々が五感で体験できる現実の空間として具現化した場所が、新富良野プリンスホテルの敷地内に広がるクラフトショッピングエリア「ニングルテラス」です。
富良野の森に足を踏み入れると、木製のデッキ歩道が梢のあいだを縫うように巡らされ、15棟前後のログハウスショップが点在しています。この空間の設計において最も徹底されたのは、「木を一本も切らず、自然の樹木の間を縫うように建てる」という自然共生の精神でした。足元を歩くたびに微かに軋む木の床板や、立ち並ぶトドマツや白樺の香りが、訪れる者を物語の世界へと誘います。
各ログハウスで販売されているのは、一般的な量産型のお土産品ではありません。「富良野の自然」をテーマに、現地の作家たちが丹精込めて手作りした革製品、雪の結晶を閉じ込めたガラス細工、間伐材で作られた森の小人人形、夜の帳を暖かく照らすキャンドルなど、ここでしか手に入らないクラフトアートが並びます。
さらに木道を奥へと歩き進むと、名作ドラマ『優しい時間』の舞台として知られる喫茶店「森の時計」が迎えてくれます。カウンターに座った客自らが手挽きミルで珈琲豆をゆっくりと挽き、その音と香りを味わいながら抽出を待つ時間は、日頃の急速な時間の流れを忘れさせる贅沢な体験です。ここには、消費を急かす観光地とは決定的に異なる「思索のための空間」が息づいています。