マタニティフォトは頭おかしい?痛いと批判される理由と最新傾向

マタニティフォトは頭おかしい?痛いと批判される理由と最新傾向の背景について、専門知識を詳しくお届けします。

妊婦の身体をアートとしてカメラに収める試みは、決して近年の気まぐれな流行ではない。その歴史的転換点となったのは、ハリウッド女優のデミ・ムーアが大きく膨らんだ腹部を露わにして表紙を飾ったヴァニティ・フェア誌(1991年8月号カバー)だった。写真家アニー・リーボヴィッツが撮影したこの一枚は、当時の西欧社会に強烈なインパクトを与え、「妊娠中の女性の姿は隠すべきものではなく、美しく力強い芸術である」という新たな価値観を世界に提示した。

海外のメディアやセレブリティを中心に広まったこのポートレート写真のスタイルは、やがて日本にも波及していく。2000年代後半以降、元モーニング娘。の辻希美をはじめとするタレントやインフルエンサーが妊娠中の姿を自身のブログやメディアで積極的に発信するようになり、一般層の間でもマタニティフォトという概念が徐々に認知されるようになった。

かつては家庭内や親しい間柄だけで共有されていた妊娠の記録は、こうして「祝福されるべきアート」あるいは「一生に一度の輝かしい記念」として市民権を獲得していった。しかし、カルチャーとしての急速な拡大に対して、社会全体の心理的受容スピードが追いついていない側面も否めない。

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