なぜ茶色い?温泉まんじゅう発祥の真相と賞味期限が短い意外な理由
歴史をさらに深掘りすると、ネット上で頻繁に議論される「二大ミステリー」に直面します。「温泉の蒸気で蒸した発祥は熱海ではないのか?」という異説と、「そもそも温泉水を使っていないのに温泉まんじゅうと呼べるのか?」という疑問です。
まず発祥論争ですが、純粋に「温泉地の湯の色を模した黒糖饅頭」の起源は伊香保温泉の勝月堂で間違いありません。一方で、温泉地から噴き出す天然蒸気(地熱蒸気)を利用してまんじゅうを蒸し上げた元祖としては、静岡県の熱海温泉が有力視されています。熱海では古くから豊富な高温蒸気を利用して食材を加熱する文化があり、大正時代から昭和初期にかけて温泉蒸気を活用した実演販売が名物となっていました。つまり、「意匠とレシピの発祥=伊香保」「天然蒸気調理の発祥=熱海」という棲み分けが歴史的実情に近い解釈です。
もう一つの疑問である「温泉水が入っているのか?」という点について、全国の温泉まんじゅうの成分表を調査すると、全体の約8割以上には温泉水そのものは含まれていません。飲泉許可が下りていない泉質や、硫黄成分・塩分が強すぎて生地の膨らみや餡の風味を損なうケースが多いためです。あくまで「温泉地の情緒を味わう土産菓子」として発展してきた背景があります。
この名称を巡っては、ユニークな現代的展開も見られます。毎日新聞の報道(2025年6月20日)でも取り上げられたように、温泉地ではない滋賀県草津市において「温泉ないまんじゅう」と名付けられた商品がSNSを中心に爆発的な話題を呼びました。群馬県の草津温泉と混同されやすい滋賀県草津市の菓子業者が、逆手に取ったユーモアとして開発したものです。名前に「温泉」を冠することへの世間の関心の高さと、固定観念を突いた秀逸な事例といえます。