なぜ肌着のグンゼ株式会社が医療で大躍進?驚きの事業戦略と年収の真相
同社が成し遂げた転換劇の起点となったのが、痛みを伴うアパレル事業の抜本的な再編です。2020年代前半にかけて断行された構造改革では、不採算品番の大幅削減、生産拠点の集約、過剰在庫を抱えがちだった中間流通の見直しが徹底されました。その一方で、「YG」や「BODY WILD(ボディワイルド)」、「KIREILABO(キレイラボ)」といった主力ブランドでは、縫い目を完全になくした完全無縫製技術や高機能吸湿発熱素材へとリソースを集中投下。インナー肌着の人気と評判を「価格勝負」から「圧倒的な着用体験価値」へと昇華させ、アパレル事業単体でも筋肉質な黒字体質を再構築しました。
そして、グンゼの屋台骨を支える最大のエンジンがプラスチックフィルム事業の強みです。ペットボトルや加工食品の包装に使われる熱収縮性「シュリンクフィルム」において、同社は国内トップクラスのシェアを掌握しています。薄膜化と強度を両立させ、環境負荷を低減するリサイクル素材対応フィルムは、大手飲料・食品メーカー各社のグローバル展開に不可欠な素材として重宝されています。
さらに特筆すべきは、グンゼのメディカル事業における人工真皮の現在地です。絹糸の製造で培った生体親和性・高分子合成技術を医療に応用し、1990年代に日本初となる人工真皮「ペルナック」を開発。重度熱傷や外傷、腫瘍切除後の皮膚再建において、血管新生を促し自家植皮を可能にするこの製品は、国内外の形成外科・皮膚科領域でデファクトスタンダードとしての地位を確立しました。近年では、体内組織の再生を誘導する生体吸収性シートや、体内で数年かけて自然分解・吸収される骨接合用スクリュー「グランドフィックス」など、金属プレートの抜去手術を不要にする画期的な医療機器を次々と上市。医療分野での特許網と高い参入障壁が、驚異的な利益率を支えています。