牝馬とは?牡馬との違いや強さの理由・歴代最強馬の真相をプロが解説
能力の高さが評価される一方で、牝馬を扱う調教師や厩務員、そして馬券を買うファンを常に悩ませるのが、牝馬特有の「気性の難しさとホルモンバランスの変動」です。
馬は季節繁殖動物であり、日照時間が長くなる春先から初夏にかけて発情期を迎えます。競馬界ではこの発情状態を業界用語で「フケ」と呼びます。フケが訪れた牝馬は、集中力が著しく低下したり、他馬を極度に意識していら立ちを見せたり、強い腹痛(排卵痛)のような症状から飼い葉(食事)を全く食べなくなったりすることがあります。
栗東トレーニングセンターのベテラン厩務員は、自著や取材の場で次のようにその繊細さを明かしています。
「前週の追い切りでは完璧な動きを見せていても、レース当日の朝に突然フケが来てパドックでパニック状態になることがある。牡馬なら気合乗りと捉えられるテンションの上昇も、牝馬の場合はただのストレスやパニックであることが多く、返し馬の段階で騎手が『今日は走る気分にない』と察知することすらある」(競馬専門誌の現場手記より)
SNSや大手掲示板(5ちゃんねる)、Yahoo!知恵袋などのコミュニティでも、「パドックで尻尾をしきりに振って落ち着きがない牝馬を軸にして大敗した」「春先の牝馬限定戦は波乱が多すぎて読めない」といったファンの嘆きが毎春のように投稿されます。
ただし、近年はこの気性管理にもバイオテクノロジーと飼養管理のメスが入っています。厩舎のLED照明をプログラム制御して日照リズムを調整し発情期をコントロールする技術や、ホルモンバランスを整えるサプリメントの導入、夏場の輸送時における空調完備馬運車の徹底などにより、かつてほど「フケによる大敗リスク」は激減しています。現場の徹底した科学的アプローチが、牝馬の安定したハイパフォーマンスを支えているのです。