清水翔太『花束のかわりにメロディーを』誕生秘話と結婚式定番の真相
『花束のかわりにメロディーを』は、2015年10月28日に清水翔太の通算20枚目のシングルとして世に送り出されました。当時、NHK総合のドラマ10『デザイナーベイビー』の主題歌として書き下ろされた作品ですが、その制作の裏側にはシンガーソングライターとしての大きな転換期と葛藤がありました。
2008年に『HOME』でセンセーショナルなメジャーデビューを果たした彼は、本格派R&Bシンガーとして日本のポップシーンを牽引してきました。しかし、20代半ばを迎えた当時の取材や音楽特番のインタビューにおいて、本人は「テクニックやトラックメイキングの複雑さに囚われ、自分が本当に伝えたかった歌の根源的な力を見失いかけていた」と率直に吐露しています。アグレッシブなビートメイキングや海外トレンドを貪欲に吸収する一方で、言葉の純度とメロディーだけでリスナーの涙を誘うような「嘘偽りのない歌」を作りたいという強烈な渇望が芽生えていました。
制作当時、スタジオに籠もった清水翔太は、過剰なシンセサイザーやコーラスワークを極力排除し、ピアノのコード感と己の声だけで成立するバラードの構築に着手しました。誕生秘話として語り継がれているのは、彼が「もし自分に地位や名誉、高価なプレゼントが何一つなかったとしても、愛する人に対して最後に差し出せるものは何か」を徹底的に自問自答したというエピソードです。その純粋な内省から紡ぎ出されたのが、「花束のかわりにメロディーを、抱きしめるかわりにこの声を」という魂の叫びでした。