飛行機で耳が痛い原因と治し方|着陸時の激痛を防ぐ耳抜き&予防策
機内で耳に圧迫感を覚えた際、最も有効な回避手段となるのが「耳抜き」です。しかし、やり方を一歩誤ると耳管や内耳を痛める原因になります。安全かつ確実に中耳腔へ空気を送り込むための技術と、その優先順位を正しく把握しておく必要があります。
軽度の違和感であれば、まずは身体の自然な反射を利用する低侵襲な方法から試すのが基本です。唾液を意識的に飲み込む「嚥下法」や、大きく口を開けてあくびの動作をする方法は、耳管周囲の口蓋帆張筋を収縮させて自然な開口を促します。あらかじめ手元に用意した飴玉を舐めたり、ガムを噛み続けたりすることで、持続的に唾液の分泌と嚥下動作を発生させるアプローチも現場での有効策として広く推奨されています。
それでも圧迫感が解消されない場合、より強制的に圧を押し通す「バルサルバ法」の実践に移ります。バルサルバ法は正しいフォームで行わなければ、鼓膜の過伸展や内耳窓の破裂(外リンパ瘻)を引き起こし、永続的な難聴やめまいを誘発する恐れがあります。以下のステップを厳守してください。
- 息を軽く吸い込み、口を完全に閉じる:肺いっぱいに吸い込む必要はなく、通常の呼吸より少し多めに空気を溜める程度にとどめます。
- 鼻孔を指で隙間なく完全に塞ぐ:小鼻の脇を親指と人差し指でしっかりとつまみ、空気が外へ漏れない状態を作ります。
- 鼻をかむ要領で、2〜3秒間「ごく優しく」息を鼻の奥へ送り込む:力任せに息んで圧をかけるのは厳禁です。頬を膨らませず、鼻の奥に圧力を集める感覚で、微弱な力を一定に加えます。
- 耳の中で「プチッ」「ポコッ」と音がしたら即座に圧を抜く:音がした時点で耳管を通じて中耳に空気が入った証拠です。それ以上の加圧を続けず、ゆっくり唾液を飲み込んで安定させます。
なお、鼻をつまんで唾液を飲み込む「トインビー法」も有効な選択肢です。トインビー法は中耳内の圧を下げる働きがあるため、特に離陸時の膨張感に対して優れた効果を発揮します。いずれの手法においても、「激痛が走ってから力任せに行う耳抜き」は絶対に避けてください。すでに炎症を起こして腫れ上がった耳管に強圧をかけると、組織の損傷を助長するだけに終わります。