神楽坂「蕎楽亭」はなぜ並ぶ?ミシュランが認めた行列の真相と絶品名物
蕎楽亭のメニューを開くと、十割蕎麦のみならず、二八蕎麦、うどん、ひやむぎ、そして多彩な酒肴が並び、どれを選ぶべきか迷う方が少なくありません。ネットの口コミで絶賛される定番から、知る人ぞ知る名物まで、その実力と価格帯を検証します。
筆頭に挙げるべきは、やはり「十割蕎麦(ざる)」です。玄蕎麦の殻を丁寧に取り除き、微細に挽いた生粉打ち蕎麦は、淡い緑がかった透明感を放ちます。まずはつゆをつけず、数本をそのまま手繰ってみてください。噛みしめた瞬間に広がるナッツのような穀物の芳香と、スッと消え去る清々しい後味は、蕎楽亭の技術が凝縮された瞬間です。つゆは江戸前らしい辛口でありながら、出汁のまろやかな旨味が後から追いかけてきます。
そして、多くのアワードや食通が激賞するのが「天ざる」および単品の「天ぷら盛り合わせ」です。活き車海老の頭を素揚げにした香ばしい一口から始まり、絶妙なレア感を残した身の甘み、活け穴子のふっくらとした肉厚感、季節によっては会津直送のアスパラガスや山菜が供されます。綿実油と胡麻油を絶妙な比率でブレンドした揚げ油は、油切れが極めて良く、食後の胃もたれを一切感じさせません。
さらに見逃せないのが「二色蕎麦(十割+うどん、またはひやむぎ)」です。「蕎麦の名店でうどん?」と疑問を抱く方もいるかもしれませんが、この相盛りこそ蕎楽亭の真骨頂です。手打ちのうどんは透き通るような白さで、しなやかなコシと絹のような舌触りを持ち、細打ちのひやむぎは氷水でキュッと締められた官能的な喉越しを誇ります。小麦の甘みを最大限に引き出したそのクオリティは、讃岐や讃岐系の専門店を驚嘆させるほどの完成度です。