『夏目友人帳』キャラ徹底解剖!正体と相関図・最強妖怪の真相に迫る
夏目貴志の前に立ちはだかる「もうひとつの世界」が、妖を害悪として駆除し、あるいは道具として使役する祓い屋の社会である。その二大巨頭として描かれるのが、名取周一と的場静司だ。
名取周一は、かつて名門と謳われながらも没落した名取家の出身である。家族の中でただ一人妖が見える体質ゆえに狂人扱いされ、家庭内孤立を経験した過去を持つ。彼が独学で術を学び、やがて人気俳優の表舞台に身を置いたのは、自らの存在証明と社会的な居場所を確保するためだった。彼の皮膚の下を常に這い回る「ヤモリの痣」は、決して左足には入らないという不気味なルールを持ち、未だ名取自身をも脅かす不穏な業(ごう)の象徴である。名取は夏目にかつての自分を重ね、彼を冷徹な祓い屋の世界から守るため、あえて一歩引いた庇護者の立場を貫こうとする。
対照的に、冷厳なリアリズムを体現するのが的場一門の現当主・的場静司である。彼が常に右目を呪符付きの眼帯で覆っている理由には、一門の暗黒の歴史が刻まれている。過去、的場家の先祖が強力な妖怪に「右目を代償に力を貸す」という誓約を交わしながら、用が済むとその約束を反故にした。激怒した妖は「以後、的場の当主の右目を喰らいに現れる」という呪いを残した。静司の右目は、代々の当主が背負わされたその契約の清算から逃れるための防壁なのだ。
的場は妖怪を決して信じず、使えるものは式神として酷使し、危険と見なせば容赦なく調伏する。一見すると悪辣な敵役に見えるが、彼の動機は一門に連なる多くの門下生や依頼人の人間の生活を守るという、冷徹な統率者の論理に基づいている。人間と妖の共生を夢見る夏目に対し、的場は「共生など幻想であり、弱者は喰われる」という現実を突きつける。二人の対立は善悪の争いではなく、背負う重責と価値観の根本的な激突なのである。