自衛隊と自衛官の違いとは?意外と知らない「組織と人」の差や給料の真相
言葉の混同を解消する鍵は、自衛隊法第2条の条文にある。法律上の定義において、自衛隊とは「防衛大臣、防衛副大臣、大臣政務官のほか、統合幕僚監部、陸上・海上・航空自衛隊などの諸機関から構成される防衛省の防衛組織そのもの」を指す。対して自衛官とは、その組織を構成する個々の人員のうち、階級が指定され、有事の際に武器を携帯して武力行使に携わる任務を帯びた「人(個人の身分)」である。
ここで多くの人が混乱するのが、自衛官と自衛隊員の違いだ。防衛省・自衛隊の公式規定によると、「自衛隊員」とは自衛隊に所属するすべての常勤職員(約25万人)を指す包括的な総称である。ベン図をイメージすると分かりやすい。外側の大きな円が「自衛隊員」であり、その内側の約9割を占める戦闘要員が「自衛官」である。残りの約1割は、背広組(スーツ組)と呼ばれる事務職や技術職で構成されている。
この文脈で欠かせないのが、自衛官と防衛事務官の違いである。自衛官が階級章をつけ、有事に際して防衛出動を命じられるのに対し、防衛事務官や防衛技官は内部部局や各機関で政策立案、予算管理、装備の研究開発、情報分析などを担う文民職員だ。最も象徴的な違いは「宣誓文」にある。自衛官は入隊時に「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」と署名・捺印するが、防衛事務官にはこの生命を賭した服務の宣誓は課されない。身分はいずれも特別職国家公務員 自衛官および事務官であるが、課せられるリスクと職務権限は明確に峻別されている。